衛星画像から東京湾の「雲のない」自然色(ナチュラルカラー)合成画像を作成するプロジェクトに取り組んでいます。1枚の衛星写真には必ずと言っていいほど雲が写り込みますが、複数時期のデータを組み合わせることで、雲を取り除いたクリアな地表画像を作り出すことができます。今回はその仕組みと、直近で作成した2026年1〜2月・3〜4月分の成果についてご紹介します。
使用しているデータソース
本プロジェクトでは、解像度とデータ提供元の異なる2系統のパイプラインを用意しています。
- HLS 30m版:NASA Earthdata(LP DAAC)が提供するHarmonized Landsat Sentinel-2(HLSS30)データ。利用にはNASAアカウントでの認証が必要です。
- Sentinel-2 L2A ネイティブ10m版:AWSの公開バケット上にホストされているElement84 Earth Search STACカタログ経由でSentinel-2 L2Aデータを取得。認証不要で、ESA本来の10m解像度をそのまま活かせます。
NASAはESAネイティブの10m解像度Sentinel-2データそのものは配信していないため、10m相当の解像度が必要な場合は後者のAWS経由パイプラインを使用しています。
雲を取り除く仕組み
処理の流れは大きく4段階です。
- STAC/CMRカタログで対象範囲・期間のシーンを検索し、ナチュラルカラー合成に必要な最小限のバンドだけを取得(帯域節約のため、フルシーンではなくバンド単位でダウンロード)
- 品質バンド(HLSはFmask、Sentinel-2 L2AはSCL)を使って雲・雲影・欠損画素をマスクし、タイルごとに時系列の中央値合成を行う。期間中に一度でも晴天観測があれば、その画素は合成後も残る
- 複数タイルをモザイクし、東京湾のバウンディングボックスにクロップ
- 8bit RGBのGeoTIFF(LZW圧縮・UTM座標系)として出力
このアプローチにより、単一シーンでは雲に隠れてしまう海域や沿岸部も、期間内の複数観測を重ね合わせることでクリアに描き出せます。
今回の成果:2026年1〜4月分を作成
今回はSentinel-2 L2A 10mパイプラインを使い、以下の2期間について合成画像を作成しました。
- 2026年1月1日〜2月28日:45シーンを使用し合成。有効画素カバレッジ100%を達成
- 2026年3月1日〜4月30日:37シーンを使用し合成。こちらも有効画素カバレッジ100%を達成
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
いずれも東京湾を覆う4つのMGRSタイル(54SUD/54SUE/54SVD/54SVE)を個別に中央値合成した後にモザイク・クロップしており、期間内に一度でも晴天だった画素はすべて画像上に残る形になっています。カバレッジ100%は、期間中の観測だけで東京湾全域の雲を除去しきれたことを意味します。
今後について
対象範囲や期間の変更は設定ファイル1箇所を編集するだけで済むため、季節ごとの比較や、特定イベント前後の変化観察など、柔軟に展開できます。今後も定期的に東京湾の様子を追いかけ、成果を共有していく予定です。





