佐渡トライアスロン大会

昨日、2026-09-06(日)に佐渡トライアスロン大会が開催されました。私も過去に10年続けて参加していました。2005~2015年まで。。昨日は友人が参加していたので、Youtubeで応援していました。今回のブログでは、Sentinel-2データを使い、佐渡ヶ島の鳥瞰図を作成してみました。。

図1.佐渡島(鳥瞰図:Sentinel-2)

1. 佐渡国際トライアスロンとは — 1989年から続く「国内最難関」

佐渡国際トライアスロン大会は、1989年(平成元年)9月17日に「’89トライアスロン・ジャパンカップ・イン佐渡」として始まりました。1,328人が参加し、開局間もないNHK衛星第1テレビがヘリコプター空撮も交えて計6時間生中継したというから、当時からかなり気合いの入った大会だったようです。以来、一度も休止することなく毎年開催され、2026年の今大会で第30回日本ロングディスタンス選手権を併催する老舗大会に育っています。

できごと
1989 前身「’89トライアスロン・ジャパンカップ・イン佐渡」開催。1,328人参加、NHKが計6時間生中継
1990 開催日が「9月第1日曜日」に定例化
1996 大会名を「佐渡国際トライアスロン大会」に変更。日本ロングディスタンス選手権を併催開始
1998 アジア初のITU世界ロングディスタンス選手権を開催。志垣めぐみ選手が日本人初のロング世界メダル(3位)
2002 佐渡ジュニアトライアスロン大会が同時開催に。フェーン現象の酷暑で完走率75%
2005 インターネットライブ中継が開始(筆者が初参加した年)
2007 サポート車両にEV13台・燃料電池車1台を導入し「エコ大会」に
2010 海水温28℃の異常高水温で大会史上初の「スイムスキップ」ルール導入
2011 台風接近によりAタイプのスイム距離を3.8km→2.0kmに一時短縮
2012 Aタイプのスイムを1周3.8kmノンストップ→1.9km×2周(途中給水可)に変更し安全性強化
2015 大会史上初のドローン空撮を導入(筆者最後の参加年)
2017 スイムを4.0kmに延長し総距離236.2kmに。猛暑で完走率62.7%(当時過去最低)
コロナ禍以降 ランコースを海沿い1周10.5km×周回方式に変更(旧・田園地帯~市街地の折り返しコースから一新)
2023 NTT東日本と組み、GPSトラッキングで個人ダイジェスト映像を自動生成する国内初の実証実験
2025 記録的な強風・うねりでAタイプ完走率61.4%(近年最悪)。強風で伝統の花火は中止
2026 第30回日本ロングディスタンス選手権と同時開催(今回の大会)

表1: 佐渡国際トライアスロン大会 沿革(出典: 佐渡国際トライアスロン大会公式サイト・Wikipedia等をもとにNotebookLM Deep Researchで調査・筆者にて要約)

Aタイプは、スイム4.0km・バイク190km(佐渡一周)・ラン42.2kmの合計236.2km。距離だけ見ればアイアンマンディスタンス(約226km)を上回るのに、制限時間は17時間ではなく15時間30分というアイアンマンより厳しい設定です。完走できても当たり前ではなく、完走者だけに「ASTROMAN(アストロマン)」という称号が贈られるのも納得の過酷さ。トライアスリートの間では「ラスボス」と呼ばれているのも頷けます。

2. Aタイプに10年 — 私と佐渡アストロマンの挑戦

私が参加していた2005~2015年は、ちょうど大会が今の形に近づいていく変化の時期と重なっていました。参加初年の2005年はインターネットライブ中継が始まった年、2012年にはスイムが「1周3.8kmノンストップ」から「1.9km×2周・途中給水あり」に変わって随分泳ぎやすくなった記憶があり、最後に出た2015年は初めてドローン空撮が導入された年でした。ランコースも今の海沿い周回コースではなく、佐渡の田園地帯を抜けて市街地まで往復する、当時ならではのコースを走っていました。

10年も通っていると、佐渡一周のバイクコースの登り坂や、日が暮れてからのランの静けさなど、身体で覚えている記憶がいろいろあります。今回、友人の応援でYoutube中継を見ながら、あの頃自分が実際に自転車で越えていた地形を、今度は衛星データとDEMを使って上空から俯瞰してみようと思ったのが、このブログのきっかけです。

3. Sentinel-2衛星画像で佐渡島の鳥瞰図をつくる — 技術解説

Sentinel-2を使った衛星画像づくりは、東京湾の雲除去ナチュラルカラー合成Sentinel-2で見る日本の水瓶に続く3回目の取り組みです。今回は平面の合成画像だけでなく、国土地理院の標高データ(DEM)と組み合わせて、佐渡島を斜め上空から見た「鳥瞰図」まで作成してみました。

3-1. データソースと雲除去

使用したのは、AWSの公開バケット上にElement84 Earth Search STACカタログ経由でホストされているSentinel-2 L2Aのネイティブ10m解像度データです。NASA Earthdata経由のHLS(30m版)と違い認証不要で、ESA本来の10m解像度をそのまま使えます。2026年6月20日~9月6日(大会当日まで)の期間で取得したシーンを、SCL(Scene Classification Layer)という品質バンドを使って雲・雲影・欠損画素をマスクし、タイルごとに時系列の中央値合成を取ることで、期間中に一度でも晴天観測があった画素はすべて画像に残る「雲のない」佐渡島を作り出しています。

3-2. 標高データ(DEM)の取得

標高データは、国土地理院の標高タイル配信(cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/dem_png)から取得しました。ズーム14相当で地上分解能は約8m。DEM5A(5m・航空レーザ測量)>DEM5B(5m・写真測量)>DEM10B(10m)という優先順位で自動的に統合されたレイヤーで、ログインや手動でのメッシュ選択が必要な通常の基盤地図情報ダウンロードサービスと違い、スクリプトだけで完結して取得できます。

3-3. 鳥瞰図のレンダリング

Sentinel-2の合成画像とDEMを同じ座標グリッドに揃えたうえで、DEMから計算した陰影起伏(ヒルシェード、太陽方位315°・高度45°を想定)を衛星画像に乗算合成。これをmatplotlibの3D面プロット(plot_surface)で斜め視点からレンダリングしています。VTKやPyVistaのような本格的な3Dライブラリではなくmatplotlibのメッシュ描画で済ませているので、フォトリアルなレイトレース画像ではありませんが、地形の起伏をざっくり掴むには十分な軽さと速さです。

3-4. 佐渡ならではの工夫 — 大佐渡と小佐渡を分けて描く

佐渡島は、北の大佐渡山地と南の小佐渡山地が、国仲平野を挟んで南北に細長く伸びた形をしています。この地形を1枚の鳥瞰図で表現しようとすると、どちらの山地にも「主役の視点」を持たせることができません。カメラを回転させても、これだけ細長く平坦な島では単純に左右反転して見えるだけで、山地が手前に迫ってくるような迫力が出ないのです。そこで今回は、DEMと衛星画像を南北の帯状に切り出してから個別にレンダリングする専用スクリプトを用意し、大佐渡・小佐渡それぞれの鳥瞰図を作成しました。

【図2】大佐渡山地 鳥瞰図(Sentinel-2 × 国土地理院DEM)

【図3】小佐渡山地 鳥瞰図(Sentinel-2 × 国土地理院DEM)

まとめ

10年間、地上を自分の脚と自転車で走っていた佐渡島を、今回は衛星データとDEMを組み合わせて上空から見つめ直してみました。バイクコースの190kmが佐渡島をほぼ1周していることや、大佐渡・小佐渡という2つの山地に挟まれて国仲平野が広がっていることは、走っている最中には正直あまり実感できていませんでした。数字で「完走率61.4%」「制限時間15時間30分」と言われるより、実際にこうして地形を俯瞰したほうが、あの過酷さの理由が腑に落ちる気がします。