鳥取にスターバックスがオープン。県民の反応は?(2026年リブート版)

2015年5月、鳥取県に初めてスターバックスがオープンしました。全国47都道府県で最後の出店です。当時のブログ(鳥取にスターバックスがオープン。県民の反応は?)では、「スタバ」「スターバックス」を含むツイート443,823件を集めて、県民の反応を数えてみました。あれから11年。同じ分析をもう一度やりたかったのですが、後述の理由で今回はできませんでした。かわりに、この11年で日本の「チェーン店の来る・戻る・去る」がどう動いたかを、4つの事例で見ていきます。

日本に来た・戻った・練り直した・去ったチェーン店のインフォグラフィック

2015年のおさらい:鳥取県民はいつ盛り上がったか

旧記事の要点だけ振り返ります。

  • 期間:2015年5月17日〜25日、対象:「スタバ」「スターバックス」を含むツイート443,823件(リツイート・スパムは未除外)
  • 開店初日の5月23日に、ツイート数が増加
  • プロフィール欄から居住地を推定できたのは平均16.5%。東京都民が常に約20%を占める一方、鳥取県民は5月21〜22日に38人から213人へ増え、開店日に割合が最も高くなった

つまり「全国が話題にしている中で、鳥取県民の熱はオープン当日にピークを迎えた」というのが結論でした。県外からの反応のほうが多かったのは、「スタバがない県」という話題そのものが全国ネタだったからでしょう。

11年後のスタバ鳥取:あって当たり前になった

1号店は「スターバックス コーヒー シャミネ鳥取店」(2015年5月23日開業、鳥取駅の近く)。現在の店名は「シャミネ鳥取 えきなん店」です。その後、イオンモール鳥取北、イオンモール日吉津、米子市内などに広がり、2025年8月には鳥取駅の改札口前に「シャミネ鳥取 JR改札口店」もオープンしました。2026年4月時点の店舗一覧では、鳥取市3店、米子市2店、日吉津村1店の計6店で、2015年の1店から6倍になっています。それでも日本全体では2,000店を超えるチェーンの中で、鳥取県は今も店舗数が全国でも少ない県のひとつです。

ただ、2015年にあれほど話題になった「スタバが来る」は、今は事件ではなく日常になりました。面白いのは、そのときに生まれた物語のほうが残っていることです。当時の鳥取県知事・平井伸治氏が発した「鳥取にはスタバはないけどスナバ(砂場)はある」という言葉をきっかけに、地元の喫茶店「すなば珈琲」が開業しました。スタバ出店後も「大ピンチ」を逆手にとったキャンペーンで全国的に知られるようになり、お土産として定着したと言われています。大手の出店は、地元にとって脅威であると同時に、話題づくりの機会にもなったわけです。

なぜ今回は「ツイート分析」をやり直せなかったのか

2015年は、Twitter APIで過去のツイートを大量に取ることができました。しかしX(旧Twitter)のAPIは2023年に有料化され、個人が特定のキーワードの投稿を大量に集める手法は、ほぼ再現できなくなっています。そこで今回は、数えるのではなく「その後の11年に、似た境遇のチェーンがどうなったか」を、公開情報で調べることにしました。調査にはNotebookLMのDeep Researchを使い、数字は報道や企業の公式発表で裏取りしています。

日本に再上陸したバーガーキング

バーガーキングの日本での歴史は1993年に始まりますが、2001年にいったん撤退しています。2007年にロッテリアを運営するロッテと企業再生支援のリヴァンプの合弁で再上陸したものの、苦戦が続き、2019年5月には店舗数が77店まで減りました。ところがそこから反転します。2023年末に200店を超え、2026年3月に348店、9月には384店。2028年に600店という目標も掲げています。

バーガーキング国内店舗数の推移(2019年77店から2026年384店)

この間、2025年11月には、香港の投資ファンド・アフィニティ・エクイティ・パートナーズが、日本事業を米ゴールドマン・サックスに売却すると発表しました。売却額は非公表で、報道では700億円〜800億円規模とされています。

SNSで目立ったのは、マクドナルドを意識した広告です。2020年1月、閉店するマクドナルド秋葉原昭和通り店への感謝の垂れ幕を、2軒隣のバーガーキングが掲げたところ、縦読みすると「私たちの勝チ」となっていて話題になりました。ここ11年の復活は、出店のスピードだけでなく、話題づくりのうまさも一因だったようです。

戦略を練り直したサブウェイ

サブウェイは逆に、2014年に国内479店でピークを迎えたあと、減少が続きました。2018年11月に304店、2019年12月に221店、2024年9月には178店。サントリーが2016年に株式の65%を手放し、2018年に全株を売却して撤退した時期と重なります。

転機は2024年10月、ワタミが日本サブウェイを子会社化し、米サブウェイとマスターフランチャイズ契約を結んだことです。セルフオーダー端末や、2025年6月からのモバイルオーダー、アラビカ種100%のドリップコーヒーなどを導入し、ショッピングモールのフードコートへの出店を進めました。2026年9月25日時点で国内は239店と、底の178店から増えています。出店目標は当初の「20年で3,000店」から、既存のフランチャイズオーナーとの対話を経て、約1,000店規模(2034年)へ現実的な水準に修正されました。

サブウェイ国内店舗数の推移(2014年479店から2026年239店)

対面で口頭注文するのが「サブウェイらしさ」だったのが、客にとっては注文の手間と緊張になっていた、という指摘が印象的でした。強みだと思っていたものが、いつの間にか「変えられない理由」になっていたということです。

撤退するトイザらス

そして今月、トイザらスの動きがありました。2026年10月1日、日本トイザらスは東京地裁に民事再生法の適用を申請し、ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が事業を譲り受けると発表しました。対象は全158店とオンラインストアで、10月30日付で事業譲渡の予定です。取得額は非公表、屋号は当面残る方針で、従業員の雇用も維持するとされています。同社は2025年12月期まで8期連続の最終赤字でした。

言い方としては、「店が全部なくなる撤退」ではなく、「外資系の運営から日本の流通グループへ移る撤退」です。ただ、1991年に1号店を出して以来、日本のおもちゃ屋の代名詞だった会社が、運営の主体を手放すことは事実です。

興味深いのは市場の状況です。日本玩具協会の調査では、2025年度の国内玩具市場は1兆1,664億円で、5年連続で過去最高。一方、2025年の出生数は約67万人と少なくなっています。つまり、「おもちゃが売れなくなった」のではなく、トレーディングカードやホビー、ぬいぐるみなど、大人も含めた需要が伸びる中で、「おもちゃを買うためだけにおもちゃ屋に行く」必要が薄れたということのようです。PPIHは売場の約1割を「遊び場」にする構想を打ち出しています。

4つの事例をまとめると

チェーン この11年の動き 2026年10月時点
スターバックス(鳥取) 2015年に鳥取1号店。地元の喫茶店との「共存」物語が生まれる 県内6店(2025年に鳥取駅改札口店が開店)。話題から日常へ
バーガーキング 2019年に77店まで縮小後、急拡大。広告の話題性も追い風 384店、2028年600店が目標
サブウェイ 2014年の479店から178店まで縮小。2024年にワタミが子会社化 239店、デジタル化とフードコート出店
トイザらス 2018年に米国本社が破綻、日本は8期連続赤字を経て民事再生 PPIHへ事業譲渡へ(全158店、屋号は当面残る)

まとめ:来る・戻る・練り直す・去る

2015年の私は、「スタバが来る」という出来事を、ツイートの数で測っていました。11年たって、同じ問いを立て直すと、答えは数ではなく、運営の仕組みや、お客さんの買い方の変化のほうにありました。バーガーキングは運営の枠組みを作り直して戻り、サブウェイは「らしさ」を疑って注文方法を変え、トイザらスは買い方の変化に専門店という形が追いつかなかった。スタバの鳥取出店も、結局は「大手が来たとき、地元がどう向き合うか」という話だったのだと思います。

反省点もあります。今回は店舗数などの公開された数字を並べただけで、「県民の反応」のような生の声は測れていません。次にやるとしたら、県別の店舗数と人口の関係をデータで確かめたり、オープン前後の売上や来店客数を比べたりしたいところです。11年後にまた見直すときは、そのとき集められるデータで、もう少し手応えのある分析をしたいと思います。

【参考】日本経済新聞・ITmedia・時事通信・サブウェイ公式サイト・バーガーキング公式発表ほか(いずれも2026年10月時点の報道・公表情報)